紹介者してくれた方
公益社団法人観音崎自然博物館
学芸員 柴野達彦
(後ろに写るのは塚山公園の立派なクスノキ)
観音崎自然博物館について
観音崎自然博物館は、塚山公園と同じく県立公園の観音崎公園にあります。観音崎公園の豊かな森と海に囲まれた立地を活かしながら、三浦半島を中心に東京湾集水域の“リアルな自然と生態”をテーマとして紹介し、人と自然をつなぐかけはしとなる博物館を目指しています。
塚山公園との関わり
観音崎自然博物館では2008年の春から塚山公園の自然観察会に協力しています。鳥の観察会と植物の観察会で始まり、2017年から鳥が昆虫に変わりましたが、塚山公園の自然の魅力を伝える場として好評をいただいており15年以上続いています。私も2024年秋から観察会で山野草を解説させていただいていますが、横須賀の街からすぐ近くにあるにも関わらず、多くの植物が残されていて驚きました。
推し体験・推しスポット
推しポイント1:山野草が残されている塚山公園の環境
タムラソウやアマナ、オカトラノオ、ニリンソウ、エビネ、センボンヤリ…と挙げていけば次々出てくるほど、ここでは季節の山野草を見ることができます。以前は各地の里山で当たり前のように見ることができていた植物たちですが、これらの多くは里山のような草地が自然とある環境で人間と共に生きてきた種であるため、人と自然の関わり方が変わってきた現代では失われつつあります。ここ塚山公園では、三浦按針の塚があり地元の関心が高いことや、公園として適切な整備がされていることによって、地域の自然が守られてきた姿を見ることができます。
タムラソウ(花期8~10月)
アマナ(花期3~4月)
オカトラノオ(花期6~7月)
推しポイント2:公園だからできる手ごろな観察
塚山公園と言えば公園の名前の由来にもなっている三浦按針の供養塔があります。ここの階段に注目してみると、石積みの隙間に濃い緑色をした五角形の葉っぱが見えてきます。これはキクの仲間の植物でキッコウハグマといいます。亀の甲羅のような葉っぱに、白熊(ハグマ)の飾りのような花を持つこと(ヤクの尾の毛でつくられた飾りを「白熊」」という)が名前の由来です。小さな植物の一つなので花の時期以外は見つけることが難しいのですが、ここでは階段の隙間なので簡単に見つけることができます。どうやらこの環境が居心地よいみたいですね。親指の爪より少し大きいくらいの葉っぱが見えてきたら、生え方や季節ごとの姿も覗いてみると楽しいですよ。ところで、いざハグマのような花を探してみても蕾のような緑色の姿しか見られないことがあります。これは確実に種子をつけるための工夫で、閉鎖花という自家受粉で結実する花をつけているのです。ぜひ観察してみてください。キッコウハグマが見つけられたら、お次は鹿島台の階段でアキカラマツを探しに行きましょう。お子様フォークのような丸みのある切れ込んだ葉っぱが特徴的なので探すとすぐ見つかると思います。夏ごろに咲くお花が小さい花火の集まりみたいで可愛らしいですよ。
キッコウハグマの葉
キッコウハグマの閉鎖花(花期9~10月)
アキカラマツ(花期7~9月)
推しポイント3:やっぱりサクラが魅力です
公園の主なサクラとして紹介されている、シダレザクラ(栽培種)、ソメイヨシノ(栽培種)、サトザクラ(栽培種)、ヤマザクラ(野生種)、オオヤマザクラ(野生種)、オオシマザクラ(野生種)に加えて、玉縄桜(栽培種)、春めき(足柄桜)(栽培種)やジンダイアケボノ(栽培種)も見ることができます。これだけたくさんのサクラの姿を見ることができる場所は決して多くないのではないでしょうか。個人的にはオオヤマザクラを見ることができるのが魅力的です。オオヤマザクラは日本の野生種の一つで、エゾヤマザクラの別名が示す通り寒いところのサクラなので、県内では丹沢山地に分布しています。街中で見かけることはほとんどないのでぜひ探してみてください。ヤマザクラと違いを比べてみるのも面白いですよ。ソメイヨシノやヤマザクラに比べると遅咲きなので、普通のお花見に満足したら、オオヤマザクラで花や葉の色や形、枝の太さはそれぞれどうなっているのかをじっくり観察してみるのはいかがでしょうか。花の時期であれば、花の裏側にある蕚片や花床筒を比較してみると種ごとの特徴を見つけやすいのでおすすめです。
春めきの蕚片と花床筒
全体に短毛が生えており、花床筒は浅いつりがね型から壺型、
蕚片は鋸歯がわずかにあり先端は尖る
玉縄桜の蕚片と花床筒
毛が無く、花床筒は筒状のつりがね型、蕚片は細長く鋸歯がある
関連するイベント等の予定や実施の様子
これからも観察会を続けて、季節の植物を観察して発信していきたいと思っています。また、塚山公園で希少になってきている山野草について、日々公園の管理をされている神奈川県公園協会と県立塚山公園保存会グループの皆様と協力しながら来園者も巻き込むような取り組みを考えて、保全していくとともに公園の植物や公園への関心を高めることで、塚山公園の魅力を拡げていきたいです。
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