環境変化の洗礼にも逞しく生きる野鳥たち【境川遊水地公園】

2024年12月18日水曜日

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紹介してくれた方

 境川遊水地の推しスポット・推し体験のお話を 境川遊水地探鳥クラブ会員で公園のイベント「バードウォッチング入門」の案内役を務めている 上玉利 浩一(かみたまり こういち)様からお話を伺いました。 


境川遊水地探鳥クラブとは

 令和6年度、境川遊水地公園で設立されたボランティア団体です。公園を構成する3つの遊水地 (俣野遊水地、下飯田遊水地、今田遊水地)で野鳥の調査を行い、データ収集と来園者に向けた情報の発信を行っています。 

上玉利さんと境川遊水地公園とのつながり  


 公園開設以前の俣野遊水地には、草原と湿地が広がり多くの野鳥が生息していました。 公園整備に伴う工事が始まることを知り、この遊水地が多様な野鳥の生息環境として貴重な 淡水性湿地であることを普及するため、当時、有志の仲間達と野鳥の調査や自然観察会を行っていました。 工事に伴う環境変化の中、継続的に活動し、調査結果を公園に提供してきたことが縁となり、今の公園での活動が始まりました。
バードウォッチング入門の様子
『何が居るかな?』


 「合同野鳥観察会」や「ツバメのねぐら入り観察会」の案内役を経て、現在は公園主催で毎年2回開催される「バードウォッチング入門」にて、参加者の皆さんに野鳥と彼らが生活する環境との関わりを理解してもらえるよう心がけながら、野鳥たちの魅力を伝えるお手伝いをさせていただいています。 




これまでかかわっていく中で“境川遊水地探鳥クラブ”が発足されることを知り、野鳥の調査、情報収集・提供も行うという点に魅力を感じ、ボランティアの一人として参加させていただいています。 

調査で観察できた野鳥を“とり”まとめ


3遊水地(俣野遊水地・下飯田遊水地・今田遊水地)すべてが推し!!

  異なる3遊水地の環境とそこで生活する野鳥をはじめとした、生き物たちを比較しながら観察してみると、生き物たちの生活と環境との関係を知る手がかりになるでしょう。




俣野遊水地(ビオトープ)
下飯田遊水地(ビオトープ)





 
今田遊水地(ビオトープ)


【俣野遊水地】

  3遊水地で最初に開園した遊水地です。最も近い距離で野鳥を観察できるのが魅力です。沈砂池につながる水路や湧水域では、目の前にカワセミが止まり、水路を横切るクイナの姿が観察できるでしょう。
 夏はヨシ・ガマ群落が繁茂していて、野鳥の姿を見つけるのは難しくなりますが、冬~春には定期的にヨシ・ガマ群落の刈り込みや“みずみち”が作られ、生き物たちを観察する“窓”になります。静かに気長に、生き物たちが姿を現すのを待ってみましょう。
”みずみち”に現れたクイナ
"みずみち"を利用するダイサギ、アオサギ











  
※みずみち:水の流れを生み出す窪みのことで、水面から湿地へ水をひくことで 湿地の乾燥化を防いだり、水生生物の回廊になるため定期的に造成しています。

【下飯田遊水地】


 3遊水地で最も面積が広く、環境も多様なことから、多くの種類の野鳥を観察することが出来ます。
 情報センター脇の藤棚からはビオトープ全体を見渡せるので、季節毎に変化するカワウやサギ類、カモ類の個体数を確認するのに最適な場所です。
 また、鷺舞橋(さぎまいばし)から下を覗くと、カワセミ等、野鳥の姿を真上から観察することが出来ます。
藤棚から見るビオトープ
鷺舞橋
ヤナギで休息するカワウ
真上からゴイサギの観察

【今田遊水地】


  池の中にヨシ・ガマ群落が適度に配置され、冬季に渡来するカモの種類が多く観察できます。特にヨシガモの渡来数が増加傾向にあり、頭部が緑色光沢の綺麗な姿を楽しむことができます。
 また、オオバンの数が3遊水地の中で最も多いのが、今田遊水地の特徴と言えます。 

斜面の草地で採食するオオバンの群れ
緑色で光沢がある頭部が特徴のヨシガモ







推し体験:ツバメのねぐら観察


空を乱舞するツバメの群れ
  平成22年7月31日、俣野遊水地で第1回「ツバメのねぐら観察会」が行われました。私は観察のお手伝いとして参加していました。辺りが薄暗くなる頃、遊水地に次々とツバメが集まり、気がつくと周囲は上も横もツバメだらけ!まさに“生命に囲まれる瞬間”でした。この時集まったツバメは1000羽以上。
 近年は、ねぐらが確認出来なかったため、観察会は行われていませんが、令和6年は今田遊水地に1000羽以上のツバメが集まって“ねぐら”利用をしていました。


ねぐら入りしたツバメ

 7月下旬~8月中旬の17:30~19:00頃の間、遊水地沿いにある藤沢大和自転車道から観察すると、水面一面、空一面に飛び交うツバメのねぐら入り“生命に囲まれる瞬間”を楽しめるかもしれません。 
※開園時間は7、8月で8:30~18:30(下飯田・今田は15分早く閉園します) 閉園後は公園に立ち入れません。公園外から通行の妨げにならないよう観察をお楽しみください。 

 野鳥だけがみどころじゃない!!!トンボの観察も推し体験 


 今田、俣野遊水地には、流れビオトープや、せせらぎ水路などの小川が流れています。
 その周囲や沈砂池は、春~秋にかけて絶好のトンボ観察スポットになります。止水域と流水域で観察できるトンボが少し違うので、比較しながら観察してみましょう。
チョウトンボ

コフキトンボ群



イベント情報について

  ご紹介したイベント「バードウォッチング入門」は、年2回 春と冬に開催しております。  どなたでもお気軽にご参加ください!(小学生以下は保護者同伴)
  野鳥観察の楽しみ方や出会えるコツを一緒に考えてみましょう! 

※次回「バードウォッチング入門」の開催日は令和7年2月8日(土)を予定しております。
詳しくは公園HP(https://www.kanagawa-park.or.jp/sakaigawa/)園内掲示板をご確認ください!!!!

最後に

 遊水地公園は、台風や大雨の際に、境川の水を越流させ一時的に貯留させる遊水地機能を有する公園です。越流により環境は大きく変わりますが、その変化する環境を好んで利用する、野鳥をはじめとした生き物たちを観察するのも面白いですよ。

 ※越流による遊水地の増水後は閉園している場合がございます。
  公園の外周路または情報センター内、今田管理センター内から観察をお楽しみください。
越流前の今田遊水地

越流後の今田遊水地

サギが佇んでいます(越流時)

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